『一周忌を終えて』

2000年三月二六日

はじめにご理解いただきたい事があります。
SIDSと言われるものは、
今も起こり続けていると言う事です。
それが家で起こった場合の方に
このホームページの目的を
誤解されたくありません。


もし、うつ伏せ寝でなかったら。
それが危険な事であると知っていたら、
きっと気をつけていたのではないか
そう思います。

ご家庭で我が子に先立たれた方は、
きっとなにかしら背負って生きているものと思います。
それを責めるつもりは、全くありません。
どうしようもないと言う状況はあると思います。
形は違っても
我が子を失う気持ちはわかるつもりです。


しかし
我が家の現実は
家では考えられない状況で
愛する我が子を扱われ
そして殺され
あきらかに
不注意であるのに
何の罰も無く
背負うものも無く
そんな事は
許されることではない
そう思いました。
『病気だから仕方がない』
そう言っている間は
次の発生を防げない
と思います。


僕は学者でもなく
研究者でもありません。

ですが
風歌がいなくなって
出来る限り勉強しました。
その中で知ったのですが
我が家と同じように
預け先でなくなった赤ちゃんは
全てうつ伏せ寝で発見されています。
素人である僕が
少し勉強すればわかる事実を
プロであるはずの方が
知らなかったでは通用しません。
知っていてうつ伏せにするのは
殺人では無いでしょうか

乳幼児突然死症候群『SIDS』
これは、今日本で
新生児の死亡原因の3位以内に必ず入っています。
何故なくならないのか
リスクを減らせば発生も減るはずです。
それは
死んでしまった赤ちゃんに
その責任を背負わせている現状に問題があると思います。
風歌が死んでしまった後
様々な噂が耳に入りました。
『もともと心臓が悪かった。』
『前の日に階段から落ちていた』
『病気の赤ちゃんを預けていた』
『頭を強く打っていた』

噂は全て
その死因を風歌に押し付けるものでした。
その結果『ウチでは大丈夫』
そういう意識が他の家庭の方に
生れたのでは無いでしょうか。
残念ながらそれでは
風歌の死は
何の教訓も産まないのです。
死んだのは風歌のせいではなく
うつ伏せ寝による窒息であった
と意識の中にあれば
保護者はしないと思います。
それが
このホームページのねらいです。


僕達は
悲しみと共に生きていかなくてはなりません。
その中で
風歌の死を
風歌の人生を
無駄にしたくはありません。
今日『2000年三月二六日』
風歌の一周忌を迎えました。
このホームページを見て
不愉快に感じる方もいると思います。
しかし
『ウチも気を付けよう』
『私の施設では起こらないよう努力しよう』
そう思っていただけるだけで、
風歌の人生が
意味のあるものになります。
風歌の死を
無駄死ににさせたく無いのです。
この事を一周忌の
挨拶に変えさせていただきます。
これからもよろしくお願いします。

宮田浩太郎