櫛毛さんからのお手紙

櫛毛菜穂訴訟について
事故から二審判決までの経過

 菜穂は新生児室の中で、2時間以上放置され、
うつ伏せで死んでいるのを発見された。(H5.2.9)
警察の現場検証、及び司法解剖の結果は窒息であった。
私達から窒息死を主張したのではない。
死亡当日から、院長、助産婦が窒息を認め、謝罪を繰り返した。
土下座までし、『病院を閉める。責任を取る。』とまで何回も言った。
しかし、半年も経った7月には、病院側の弁護士から
『窒息ではなく、SIDS(乳幼児突然死症候群)だから責任はない』という手紙を、
訴訟で親側が敗訴となった一覧表とともに送りつけられた、
悲しみに打ちひしがれている親に対するあまりにもひどい仕打ちに、
私達は心底怒り、裁判をはじめた。(H5.9.1)

しかし、一審敗訴(H9.8.29)
『窒息の可能性もSIDSの可能性も否定できない。証拠が足りない。』というものであった。

私達は、ただちに控訴した。(H9.8.10)
二審の判決間近になり、菜穂の解剖所見から新たな証拠が見つかった。
K医師(大阪監察医、SIDS症例検討委員会幹事)の再鑑定によると、
頚部にねじれと圧迫が加わっていたことが明らかになった。
裁判所もK医師の意見を証拠として採用した。

私達の思い

新生児室という赤ちゃんにとって一番安全である場所が、
怠慢な医療従事者のずさんな管理によって、もっとも危険な場所に変わってしまう。
 プロであるはずの助産婦、看護婦が安易にうつぶせにし放置して、殺しておいて
死んだら子どもの体のせいにする。
親としてそれだけは許せない。
未来ある命を、私達にとっては、かけがえのない命を絶ったのだから、
きちんと謝罪して欲しい。
そして、うつ伏せ寝が窒息や事故死に対していかに危険かを、
事実に基づいて発表して、
2度とこのような悲劇が繰り返さないよう、願わずにいられない。

敗訴判決を聞いて

無念と怒りでいっぱいだ。医者には良心はないのか!裁判所には正義はないのか!
私達は信頼して、我が子を新生児室に預けた。
にもかかわらず、親の知らない間に、生まれたばかりの子をうつ伏せ寝にし、
何時間も看ていなかった。
そして死んだら、
それは子どもが悪いと言う。
そんな責任逃れが通用してよいのか!

二審判決直前に首にねじれと圧迫が加わっていたと言う客観的な証拠が出てきた。
K医師の鑑定は非常に説得力のあるもので裁判所も証拠採用した。
SIDSの専門家の中でも解剖数が一番多いと言われている
K医師への証人尋問がなされていれば、違った判決になっていたのではないかと思う。
私達に立証する時間とチャンスを与えて欲しかった。
ただ、この判決が最後ではない。
最後まであきらめずに戦う。

立証責任について

一審、二審を通して、被告側にも裁判所にも『客観的証拠を出せ』といわれつづけた。
新生児室と言う密室で起こったことであり、
うつ伏せ寝にしたのも、第一発見者も加害者側で、
被害者は、もの言えぬ赤ちゃんで死人に口なし、
証言台で病院関係者が口裏を合わせばなんでも逃げ切れてしまう。
事故直後の警察のでの証言調書が一番の真実だと思うのだが、
それを民事裁判に出してもらえない。
このような状況の中、医療に素人である親に対して、原因不明のSIDSでない事まで
証明しろと要求する。
立証責任をすべて原告である親にかぶせるのは、
あまりに過酷である。
病院側が、SIDSを主張するなら、PL法や交通事故のように、
加害者側にも立証の責任を分担すべきだ。

うつ伏せ寝について

よく寝るから手がかからないと言う理由で安易にうつ伏せ寝にされ放置される。
硬いベットに裸のような状態なら窒息しないかもしれない。
しかし、菜穂の場合はまったく条件が違う。
ベットの上にビニールシートや枕を敷いて、手がすっぽり隠れる長袖の服を着せられ、
上から厚い布団にくるまれていた。
そこに、生後零日の菜穂は
うつ伏せ寝にされ、二時間以上誰もいないところで放置されたのだ。

条件が重なれば、必ず事故は起こる。窒息する。
以上
2000.1.24 
櫛毛文治
    富久美

一部略させていただきました。

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